私のセミナーではよく
彼氏が「花屋に行くのは花が欲しくて花屋に行くわけではない」と言ってます。
これは、よくマーケティングでは耳にする、お客は「ドルではなく穴」を求めている。と同じです。
マーケティングの基本の基本です。
客は、ドリルを買おうとホームセンターに行く、そして店員が「なにをお探しですか?」と聞いてきた。すると彼は「ドリル」と答える。
店員はお客がドリルを買いに来たと思っているから、ドリルが置いてあるコーナーに行き、ドリルの説明を始める。
「これは充電式で‥‥」「これは最新式で‥‥」「これは今流行っていて‥‥」「これはコンパクトで‥‥」と、詳しくドリルの説明をする。
そして彼は店員に勧められた1万円するドリルを買い、自宅に帰って行った。
自宅に帰り、奥さんにドリルを買ってきたことを告げると「また無駄なものを買ってきて返してきなさい」と怒鳴られた。
再びホームセンターに行き返品し、店員もいい顔をしていない。。。
別の店員の話
客は、ドリルを買おうとホームセンターに行く、そして店員が「なにをお探しですか?」と聞いてきた。すると彼は「ドリル」と答える。
店員は「なにをするためにドリルが必要ですか?」と聞き、彼は「壁に家族の写真を飾るため、額縁をかける穴をあけてフックをかけたいんだ」と答える。
店員は「フックをかけるための穴なら、ドリルでくなても、キリで穴をあけれますよ」と、500円のキリを勧めた。
さらに、手が滑らない軍手と、穴をあけた時に汚れないようにシートと、フックが緩まないようにボンドを勧めた。
彼はそれらを購入し、会計をすませると、店員は、近くに最近できた雑貨屋に素敵な額縁売っていることを彼に教えてあげた。
さてあなたは、どちらの店員を贔屓にするだろうか?
客が欲しかったのは、ドリルではなく、額縁をかける「穴」だったのです。
では今回の質問
マーケティングのお勉強です
付き合いたてのカップルがいます。
彼氏が「花屋」に「花」を買いに行きました。
さて、なぜ彼が、花屋に行ったのでしょうか?
目次
みなさんからの回答
- 彼女へのプレゼント
- 彼女を喜ばせるため
- 彼女の母の病気見舞い
- 花屋に彼女が働いているから
- 彼が家が殺風景だから
などなどいただきました。
マーケティングのお勉強と書いてあるのに、彼女が働いている、という回答がどうマーケティングにつながるのか、逆に聞いてみたいものです。
とはいえ、8割の方は、彼女へのプレゼント、または、彼女を喜ばせるため、という回答でした。
彼は、花屋に何をしに行ったのか?
先程の「ドルではなく穴」と同じ
「花屋に行くのは花が欲しくて花屋に行くわけではない」
彼が欲しいのは「彼女の笑顔」
彼女の笑顔が見たいから、花をプレゼントして喜ばせようと思ったのです。
付き合いはじめで、彼が花ぐらいしか思い浮かばなかったのかもしれませんが
彼女へのプレゼント、彼女を喜ばせるため、後は、サプライズ、プロポーズ、などの回答ものありましたが、そのすべてが「彼女の笑顔」が見たいから、「彼女を笑顔」にしたいから。
例えば、ゴルフショップに行くのは、プロが使っているゴルフクラブでも、最新のゴルフクラブでもなく、「ナイスショット」を買いに行ってるのです。
ダブルベットを買いに行くのは「夫婦円満」を買いに行ってるのかもしれませんね。
花屋は彼にどんな花を提供するのか?
先程のホームセンターの前者のような店員だと「なにをお求めですか?」、すると彼は花のことはよくわからないので「薔薇を10本欲しい」と言うと、店員はただ薔薇を10本包んで渡すだけだろう。
客が求めたものだけを売ればいいと考えているのだから。なんなら高い薔薇を勧めていたかもしれない。
彼女に渡すとも言わなかったので、リボンもメッセージもない。。。。よくみなさんが言われるマニュアル通りみたいな。。。
花屋さんは、彼が「彼女の笑顔」を買いに来たことを察する必要があるのです。
「なにをお求めですか?」「どなたかにお渡しするお花ですか?」と。
ただここで「どなたかにお渡しするお花ですか?」と聞き、「彼女です」と彼が言ったとしても
花屋さんが「彼女に渡すならこんな感じのブーケがいいですよ。みなさん喜ばれてます」と提案し、ブーケを売りつけたとしたら、それは先ほどのドリルの説明をしただけに過ぎない。
彼が買いに来たのは「彼女の笑顔」であって、他の女性が喜んで好評な花ではない。他の女性が喜んでも、彼女が喜ばなければ意味がないのです。
どんな彼女なのか?を聞き出す必要がある
例えば、彼女の年齢や生まれ月や、普段の服装や好きな色などを聞き、彼女が喜びそうな花を選ぶというのも1つの手だが
スマホに彼女を写した写真があるなら、それを見せてもらうのも1つの手です
そして、今からどこに行くのか?によっても選ぶ花が変わるかもしれない。
レストランに行くのか、彼女の家に行くのか、によっても、ブーケがいいのか、花束がいいのか、鉢植えがいいのかも変わってくる。
さらに、彼女との待ち合わせの所まで、なにで行くかによって変わるかもしれない。
それが、徒歩なのか、電車なのか、車なのか、さらに彼女が花を受け取った後に、徒歩や電車だとしたら、持ち運べるよう、小さいものか、手提げ袋を用意する必要がある。
ここまでは、思い浮かぶ人がいるかもしれない。
でもそれで、このお店のリピーターになるだろうか?口コミや紹介をしようと思うだろうか?
花屋は彼にどんなものを提供するのか?
花屋さんは花だけを提供すればいいのだろうか?
花屋なんだから花を売るのが当然。と思うかもしれない。でも花だけを売っていてファンになってもらえるのだろうか?
彼は、花が欲しいわけではありません。「彼女の笑顔」が欲しいのです。
彼がどういう状況で花を渡そうとしているのか?
例えば、レストランで渡すとしたら、花束を抱えて持っていくと、彼女に渡す前にバレてしまうかもしれない。
だったら花屋さんは、指定の時間に花を届けるサービスを提案できるかもしれない。
彼がまだ、どこのレストランに行くのかを決めてないかもしれない。
だったら花屋さんは、花を納入しているレストランなどをすすめ、予約してあげることもできるかもしれない。
知っているレストランなら、届けてレストランに預かってもらい、タイミングのいい所で、彼女に花を渡せるかもしれない。
例えば
彼女の好みを聞き出すときにスマホを見て、可愛いアクセサリーをしていたら、知り合いのアクセサリーショップを紹介したり、可愛い雑貨屋を紹介することもできる。
また、写真に写る彼女がマスクをしていたなら、「もしかして彼女は花粉症?」と聞き、もしそうだとしたら、生け花よりもプリザーブドフラワーのほうがいいかもしれない。
究極的なことを言うと、その彼に「彼女は花よりも可愛いアクセサリーのほうがいいかもしれない」と提案することです。
花を買いに来た客に花を売らない
なぜなら彼は、花が欲しくて花屋に来たわけではなく、「彼女の笑顔」が欲しくて、ただ花屋を選んだに過ぎないのです。
彼女が笑顔になるのであれば、花でなくても、可愛いアクセサリーでもいいのです。
お客様が「欲しい」と言ってるものを提供する。それが大前提
でも、お客様が一番喜ぶのは、お客様が「実は欲しかった」というものを提案することなのです。
それが、マーケティングです。
ニーズに答えるだけがビジネスではない。
お客様の、隠れたニーズをくみ取り、創造し、提案してあげることです。クリエイティブマインドを持つことです。
多少おわかりいただけましたでしょうか?