目次
近江商人の商売十訓
- 商売は、世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
- 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
- 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
- 資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
- 無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
- 良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
- 紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
- 正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
- 今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
- 商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
1.商売は、世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
この商売十訓のうちの1番初めの言葉が近江商人の「三方良し」の元となっております。
商売(経営)は自分たちだけが良い思いをするのではなく、世のため・人のために方針することで、自分たちの利益が生まれる。
お客様が満足し適正な価格で販売するからこそ、自分たちに利益が残り、その利益を世のために納税や寄付ができるのである。
2.店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
商売において重要なのは店の大きい・小さいよりも、出店場所を重視すべきである。
また出店場所よりもさらに商売において重要なのは、商品の良さということである。
3.売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
この事は皆さんも経験した事があるんじゃないですか?例えば車のディーラーに行って車を購入する時の事を考えてみて下さい。
車を購入する前には店員さんがこれでもかという位にセールストークをしてくれます。
そしていざ車を購入すると何年も音沙汰無し。という事はありませんか?
車に限らず洋服や飲食店もそうですね。
これはリピーターのお客様をいかに生み出せるかというビジネスの観点からも非常に重要なポイントです。
売った後にこそ買って頂いたお客様に奉仕する。
この事が出来ているお店はなかなか無いのでキチンとこの事が出来るだけでもお客様から支持されるお店作りが出来ます。
4.資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
商売(経営)をしているとついつい出てしまう言葉が「これはやった方が良いけど資金がなぁ…」・「あれは大手さんでお金があるから出来るんだよ…」
こんな言葉言ってしまっていませんか?
今は大手になった会社も昔は個人商店のような資金の乏しい形で創業したわけです。
しかしお客様からの「信用」を獲得し徐々に取引を増やしていき結果大手で資金が潤沢になって訳です。
商売や人間関係においてもそうですが「信用」を積み重ねる事が何よりも大事です。
5.無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
これも商売を行う上で重要な考え方です。
「客の為になる物を売れ」これがなかなか難しい。
経営をしているとついつい目先の資金繰りや予算の為に「無理に売る」という事をしてしまいたい誘惑に駆られる事があります。この無理に売るという言葉には「客への押し売り」・「無理な安売り」と2つの意味があります。
どちらも商売にとっては理の無い事ですのでこの無理に売る事をせずに「客の為になる物を売る」という事が大事な訳です。
あなたの商売のリピーターになってくれるお客様であればあなたがお客様の為になる物を売ればその事に気付いてくれてお店の事を信用してくれ繰り返しあなたのお店を利用してくれるでしょう。
6.良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
この言葉も私は深く思うところがある言葉の一つです。
元々私自身商売を始めた頃は「良い物」を提供している自信がありました。
私自身も良い物を提供しているのだから世間のお客様はいつかそれに気付いてくれるだろう…とそんな風に考えていました。
しかしながらこの方法ではなかなか商売は発展しません。
なぜならば広告を行わなければ世間一般のお客様になる可能性のある方に「全く知られていないから」です。
良い物・良いサービスをしっかりと「広告してこそ」世の中に広まります。
実際に弊社でも広告(ウェブマーケティング)に取り組んだ時から一気にお客様が増え結果としてより多くのお客様にご利用頂き事業を拡大する事が出来て従業員の雇用を増やし多少なりとも地域社会に貢献する事が出来るようになりました。
7.紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
これは「損して得を取れ」との考え方にもつながりますが要は「おまけ」をつけてお客様に少しでも喜んで頂くという事です。
近江商人は子供のいる家のお客には紙風船などを薬のおまけとして子供にあげて喜んでもらっていたそうです。子供を喜ばせてくれて気分が悪くなる親はおりませんのでそこから置き薬の営業や代金回収を円滑に行っていたそうです。
ビジネス的に考えてもおまけのコストからのお客様から得れる満足度(信用)の価値が高いので費用対効果の高い良い仕組みと言えます。
8.正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
これも経営を行う上で非常に重要な事です。経営に於いて利益とは「企業存続の為の必須条件」です。
利益というのは「顧客満足度」と「生産性」を高めなければ出ません。
値引きをしない為には「顧客満足度」をもっともっと高められないかと常に考える癖が必要です。
お客様の為になる付加価値を商品やサービスにどれだけ上乗せ出来るかが値引きをしないで物・サービスを売る為のポイントです。
9.今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
経営というのは1日1日の積み重ねです。
1ケ月30日を達成率100%と考えるのであれば1日あたりの達成率は3.3%です。
もしもあなたの商売の目指す利益が月に100万であれば1日100万円の3.3%の、3.3万円の利益を生み出さなければならないのです。
今日の損益を明らかにする事こそが経営なのです。
今日利益が出なかった時には、どういった手を打つべきかを考え、1日の予算の遅れを取り戻すことを考えましょう。
10.商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
経営というのは、利益を出し続けなければなりません。利益がなければ事業として存続する事さえもできません。
景気の波は好景気・不景気と交互に来るものですが、その中においても商売をやっている以上どんな時でも利益を出し続け儲けなければなりません。
そのために世の中が今どんな大きな流れになっているのか?お客様のニーズはどこにあるのか?こういった事を常に考えながら商売しなければなりません。
松下幸之助翁「商流戦術30 カ条」
- 第1条:商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり。
- 第2条:お客様をじろじろ見るべからず。うるさくつきまとうべからず。
- 第3条:店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何。
- 第4条:棚立上手は商売下手。小さい店でゴタゴタしている方却ってよい場合あり。
- 第5条:取引先は皆親類にせよ。之に同情をもって貰うか否か店の興廃のわかるるところ。
- 第6条:売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永久の客をつくる。
- 第7条:お客様の小言は神の声と思って何事も喜んで受け入れよ。
- 第8条:資金の少なきを憂うるなかれ。信用の足らざるを憂うべし。
- 第9条:仕入れは簡単にせよ。安心してできる簡単な仕入れは繁昌の因と知るべし。
- 第10条:百円のお客様よりは一円のお客様が店を繁昌させる基と知るべし。
- 第11条:無理に売るな。客の好むものも売るな。客の為になるものを売れ。
- 第12条:資金の回転を多くせよ。百円の資本も十回まわせば千円となる。
- 第13条:品物の取り換えや返品に来られた場合は、売った時よりも一層気持ちよく接せよ。
- 第14条:お客の前で店員小僧をしかるくらいお客を追い払う妙手段はない。
- 第15条:良き品を売ることは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり。
- 第16条:自分の行う販売がなければ社会は運転しないという自信を持て、そしてそれだけに大なる責任を感ぜよ。
- 第17条:仕入れ先に親切にせよ。そして、正当な要求は遠慮なく言え。
- 第18条:紙一枚でも景品はお客を喜ばせるものだ。つけてあげるもののない時は笑顔を景品にせよ。
- 第19条:店のために働くことが同時に店員のためになるよう、待遇その他適当の方法を構ずべし。
- 第20条:たえず美しい陳列でお客の足を集めることも一案。
- 第21条:紙一枚でも無駄にすることは、それだけ商品の値段を高くする。
- 第22条:品切れは店の不注意、おわびしてのち「早速取り寄せてお届けします」とお客の住所を伺うべきである。
- 第23条:正札を守れ!値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ。
- 第24条:子供は福の神―子供づれのお客、子供が使いに来ての買物には特に注意せよ。
- 第25条:常に考えよ、今日の損益を。今日の損益を明らかにしないでは寝につかぬ習慣にせよ。
- 第26条:「あの店の品だから」と信用し、誇りにされるようになれ。
- 第27条:御用聞きは何か一、二の品物なり、商品の広告ビラなり持って歩け。
- 第28条:店先を賑やかにせよ、元気よく立ち働け、活気ある店に客集まる。
- 第29条:毎日の新聞の広告は一通り目を通しておけ、注文されて知らぬようでは商人の恥と知るべし。
- 第30条:商人には好況不況はない、何れにしても儲けねばならぬ。
実は近江商人の商売十訓は松下幸之助の商売戦術三十カ条からの抜粋なのです
近江商人の商売十訓と思っておられる方も多くおられますが、実は「近江商人の商売十訓」は、昭和11年に創刊された松下電器の情報誌『松下電器連盟店経営資料』の創刊号と第2号に掲載されたもので、松下幸之助が社員に向けて話していたことをまとめたものなのです。
松下幸之助の書籍を読まれている方ならよく目にしたことだと思います。今なおパナソニックでは受け継がれています。
松下幸之助は滋賀県(近江)の出身ではありません。和歌山県の出身で、9歳に大阪へ奉公で出て23歳で起業し、一代で世界の松下電器産業へと成長させました。