「なんとなく、今の自分に満足できていないんですよね。でも、何をしたいのかもよくわからなくて……」
そう言いながら私のところへやってきたのは、会社員として働く40代のDさんだった。特別に不満があるわけじゃない、でも特別に充実しているわけでもない、「もっとやりがいがある仕事をしたい」「もっと収入を増やしたい」「もっと自分らしく生きたい」というぼんやりした感覚はある、でも何も変わらないまままた1年が過ぎた——そう話してくれた。だから私は、こう言った。
「Dさん、一つ面白い話をしてもいいですか?」
一人のお客さんがレストランに入っていくところを想像してほしい。席に着いてテーブルの上を見ると、こう書いてある。「当店にはメニューがありません」お客さんは戸惑いながら、店員が声をかけてくれるだろうと待つ。でも一向に声をかけられる気配がない。テーブルに何かが運ばれてくることもなく、ただ時間だけが過ぎていく。ようやく「オーダーしないといけないんだ」と気づいて、店員を呼ぶ。「何か温かいものをお願いします」店員は困った顔をしたまま、厨房に消えた。
それでもしばらく待っていると、店員がやってきてこう言った。「お客様、制限時間になりました。申し訳ありませんが、お帰りください」
「え?!」
納得できないまま質問する。「このお店では、何か食べることができたんですか?」「はい。当店にはメニューがない代わりに、あらゆる食材を取りそろえています。和食、中華、フレンチ、イタリアン、あらゆるジャンルの一流の料理人が厨房にいて、お客様が食べたいものをオーダーしていただければ、それをお出しするようになっています」
「食べたいものを言えば、なんでも出てくるということですか?」「はい。何と何を使った料理を、どんな味付けで召し上がりたいか、おっしゃっていただければ何でもご用意します。飲み物からデザートまですべて、オーダーしていただければ何でもご用意できます」
「私は水すら出してもらっていないのに……」「オーダーされていないものはお出しできないのです」「何か温かいものを、とオーダーしたはずですが」「オーダーは具体的でないと、料理人たちも何を作ればいいのかわかりません」「もう一度入店することはできますか?」「残念ながら、制限時間を使い果たされましたので、再入店はできません。当店では何をどれだけ召し上がっても料金は無料ですが、その代わりに制限時間があるのです」
この話をした後、私はDさんに聞いた。「この話、他人事に聞こえますか?」しばらく沈黙があってから、「……全然他人事じゃないです」とDさんはつぶやいた。
人生は、メニューのないレストランだ。
あなたは今、最高の環境が揃う日本にいる。何かをしようとすればほとんどのことができる。明日、今日と同じことをしなければ罰せられるという法律はない。自由に何でもオーダーできる環境が整っている。でも具体的なオーダーをせずになんとなく料理が出てくるのを待っていると、あっという間に人生が終わる。
Dさんが言っていた言葉を思い出してほしい。「もっとやりがいのある仕事をしたい」「もっと収入を増やしたい」「もっと自分らしく生きたい」
——これはまさに「何か温かいものをお願いします」というオーダーと同じだ。
厨房にいる料理人たちの声が聞こえてきそうだ。「やりがいのある仕事って何だよ、やりがいってどんな状態のことだ?」「ほしい収入っていくらなんだ、いつまでに?」「自分らしく生きるって、具体的にどういうことだ?」料理人たちは腕をふるう準備ができているのに、オーダーが曖昧すぎて何も作れない。そしてその間にも、時間は確実に過ぎていく。
「では、Dさん、具体的に聞かせてください。1年後、どんな状態になっていたいですか?数字や状況で教えてください」
Dさんは最初、「うーん……」と言葉に詰まった。「どんなに時間がかかってもいいです。ただし、具体的に」しばらく考えてから、「月収を今より20万円増やして、副業で自分のコンテンツを持っていたいです。毎日8時間以上会社にいる生活じゃなくて、自分の時間を自分でコントロールできる状態になっていたい」と言った。
「それです。それが、あなたのオーダーです」
具体的なオーダーをすると、一流の料理人たちが腕をふるい始める。あなたの頭の中には、超一流の料理人が揃っている。でもその料理人たちは、具体的な指示がないと動けない。「月収を20万円増やす」「副業でコンテンツを持つ」「自分の時間をコントロールする」というオーダーが出た瞬間に、脳は自動的にその実現方法を探し始める。これが、目標を「具体的にする」ことの本当の意味だ。
そしてもう一つ、Dさんに伝えたことがある。他の人が美味しそうな料理を食べているのを見て、皮肉を言ったり羨んだりするのはやめること。その人はちゃんと具体的なオーダーをして、料理が出てきた人だ。また、今自分の前に出ている料理に文句を言うのもやめること。今の状況は、過去に自分がオーダーした結果だ。変えたければ、今から新しいオーダーをすることだけを考えればいい。可能性をふさがないでほしい。叶えたいこと、夢、目標はすべて叶う。ただし、具体的なオーダーをした人だけに、料理は届く。
最後にDさんにこの3つの問いを渡した。
「1年後、何を手に入れていたいですか?できるだけ数字と状況で答えてください」
「その状態になっている時、毎日どんな生活をしていますか?」
「それを手に入れた時、どんな気持ちになっていますか?」
Dさんはその週から、毎朝5分だけ「具体的なオーダー」を書き出す習慣を始めた。最初はうまく書けなかったそうだが、1週間後には「なんか頭の中が整理されてきました。毎日ぼんやりしていたのが、やることが見えてきた感じがします」という報告が届いた。3ヶ月後、「副業の準備を始めました。最初の一件、取れました」という連絡が来た。
あなたは今、メニューのないレストランにいる。制限時間は決まっている。でも今からでも、具体的にオーダーできる。なんでも叶うこの人生で、あなたは何を注文するだろうか。


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