迷いをなくす方法は、正しい答えを探すことではない

「人生で一番ムダな時間って、何だと思いますか?」

私がコンサルの場でこう聞くと、「お金を無駄にしている時間ですかね」とか、「SNSをだらだら見ている時間じゃないですか」といった答えが返ってくることが多い。どれもたしかにムダに見える。けれど、私の答えはいつも少し違う。

人生で一番ムダなのは、迷っている時間だ。

水もお金も、流れが止まると淀んでいく。人も同じだ。動かずに考え続けていると、頭の中に不安が溜まり、心配が膨らみ、やがて動けない自分だけが残っていく。考えること自体が悪いわけではない。問題なのは、考えることで前に進んでいる気になりながら、実際には何も進んでいない状態だ。

以前、私のもとにSさんという30代の男性が相談に来た。フリーランスとして独立したい。その思いは3年前からずっと持っていたという。

「準備はしているんです。でも、なかなか踏み出せなくて」

そう言って見せてくれたのは、何度も書き直された事業計画書だった。競合調査もしている。リスクの洗い出しもしている。必要そうな勉強もひと通りやっている。外から見れば、かなり真面目に準備しているように見える。

けれど、ひとつだけ足りないものがあった。

まだ一人の見込み客にも声をかけていなかったのだ。

ここで起きていたのは、準備ではなく、迷いだ。しかも本人は、それを「慎重さ」や「ちゃんと考えている証拠」だと思っていることが多い。だから余計に抜け出しにくい。

迷いが長く続くと、人は少しずつ自分を傷つけ始める。

  • 自分は決断できない人間なんじゃないか。
  • 口だけで何もしない人間なんじゃないか。
  • 夢を語る資格なんてないんじゃないか。

動いていないだけなのに、人格まで否定し始める。すると自尊心が削られ、自信がなくなり、「やっぱり自分には無理だ」という思い込みだけが強くなる。迷いは何も生まないどころか、確実に人を弱らせていく。

私はSさんにこう伝えた。

「Sさん、今やっているのは準備ではありません。迷っているだけです」

少し厳しく聞こえたかもしれない。けれど、そこを曖昧にしたままだと前に進めない。準備をしているつもりのまま、何年も人生を止めてしまうからだ。

では、どうすれば迷いはなくなるのか。

ここで多くの人は、「もっと正しい判断基準を持てばいい」「絶対に失敗しない方法を知ればいい」と考える。けれど実際は逆だ。迷いをなくす方法は、完璧な答えを探すことではない。決める訓練をすることだ。

私はクライアントによく、小さな場面での即決を勧めている。たとえばレストランに入ったら、メニューを長く眺めすぎない。直感で決める。服を選ぶときも、必要以上に悩まない。小さなことを、早く決める。

そんなことで人生が変わるのかと思う人もいるかもしれない。けれど、これは意外なくらい効く。人は日常の小さな選択で使っている回路を、そのまま人生の大きな選択にも持ち込むからだ。いつも迷う人は、重要な場面でも迷う。反対に、小さなことをさっと決める習慣がある人は、大事な局面でも必要以上に止まらない。

決断力は才能ではない。筋力と同じで、使えば育つ。

Sさんにも、その話をした。すると彼は少し笑って、「たしかに自分、コンビニのおにぎり一つ選ぶのにも迷います」と言った。そういう人ほど、人生の分かれ道でも頭の中で何十通りもシミュレーションをして、結局何も選べなくなる。

ただ、迷いをなくすためにもっと大事なことがある。それは、自分の心がすでに答えを知っていると認めることだ。

迷っている人は、答えがないわけではない。ほんとうは、かなり早い段階で答えに気づいていることが多い。ただ、その答えを選んだときに発生する怖さや責任を避けたくて、考えることを続けているだけだったりする。

私はSさんに、こんなふうに聞いた。

「もし失敗を一切恐れなくていいとしたら、今すぐ何をしますか?」

彼は一瞬で答えた。

「昔お世話になった方に連絡して、仕事をもらえないか聞きます」

その返答には迷いがなかった。つまり、心はもうとっくに答えを知っていたのだ。足りなかったのは正解ではなく、実行だけだった。

「では、今日それをやってください」

そう伝えると、Sさんは少し驚いた顔をした。でも、その日の夜に実際に連絡を入れた。翌日、返事が来た。「ちょうど誰か探していたんだよ」。そこから最初の案件が動き始めた。

もちろん、いつもこんなにうまく話が進むとは限らない。返事が来ないこともある。断られることもある。思っていたような展開にならないこともある。けれど、ここで大事なのは結果より前にある。迷って止まり続ける人生から、一度でも抜け出せたことだ。

動いた人だけが、現実に触れられる。止まっている人は、想像の中で不安を膨らませ続けるしかない。

しばらくして、独立したSさんからこんな報告をもらった。新規のクライアントを獲得しようとして数十人にアプローチしたが、返事が来たのはほんの一部で、多くは無視かお断りだったという。

私は聞いた。

「くじけませんでしたか?」

すると彼は少し笑って言った。

「不思議と、あまり気にならなかったんです。早く次の人に連絡したくて」

ここに、迷わない人の特徴がよく出ている。楽しいことだけをしているわけではない。断られることもあるし、うまくいかない日もある。けれど、自分で選んだ道を、自分で面白がりながら進んでいる。だから一つひとつの失敗や反応に、必要以上に振り回されない。

楽しいことをやる人は、途中で止まりやすい。
楽しくやる
人は、続く。

この違いは大きい。

選んだあとに「これでよかったのか」と何度も振り返る人は苦しくなる。
選んだあとに「どうせやるなら面白くしてやろう」と思える人は強い。

そして、私がいつも伝えていることがある。人は死ぬ間際に、やったことより、やらなかったことを後悔する。

挑戦して失敗したことは、時間が経てば経験になる。笑い話になる。自分の中の武勇伝になる。けれど、やりたかったのにやらなかったことは、いつまでも心に残る。「あのときやっておけばよかった」という感情は、年齢を重ねるほど重くなる。

つまり、迷って動かないことは、その場で時間を失うだけではない。未来の後悔まで先に積み立てているようなものだ。

反対に、行動した事実は、それがどんな結果であっても自分の中に残る。うまくいけば成果になる。失敗しても学びになる。少なくとも、「自分は逃げなかった」という誇りが残る。その差はとても大きい。

Sさんは独立から半年後、安定した収入を得られるようになっていた。そしてこう話してくれた。

「あの日先生に言われてすぐに連絡を入れたことが、すべての始まりでした」

たぶんそうなのだと思う。人生を変えるのは、いつも大げさな決意ではない。たった一本の連絡かもしれない。たった一回の申し込みかもしれない。たった一歩の行動かもしれない。けれど、その一歩は、迷い続けている人には永遠に踏み出せない一歩でもある。

だから、もし今あなたが何かに迷っているなら、まず覚えておいてほしい。迷いをなくすために必要なのは、完璧な情報でも、絶対に失敗しない保証でもない。小さく決めること、そして決めたら動くことだ。

心は、たいていもう答えを知っている。
問題は、その答えに従う勇気を出せるかどうかだけだ。

いきなり人生の大勝負をしなくていい。まずは今日、身近なところで即決してみる。食事をさっと選ぶ。やろうと思った連絡をその場でする。気になっていたことに一つ申し込む。そういう小さな決断の積み重ねが、やがて大きな決断を支える土台になる。

迷わず、一瞬で動く。
その習慣がつくと、人生は驚くほど軽くなる。

考えるべきことは考えればいい。
でも、もう十分考えたのなら、次に必要なのは答えではなく行動だ。

止まっている時間を終わらせたとき、人生はまた流れ始める。

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