「先生、自分の話って、なぜか人に伝わらないんです。言いたいことはあるのに、相手の顔を見ていると、どこか上の空で……」
Eさんが私のところへやってきたとき、その悩みには切実さがあった。話を聞いていると、アイデアも熱意もある、でも人が動いてくれない、という状況が続いているという。だから私は、こう聞いた。
「何かを説明するとき、『例えば』という言葉を使っていますか?」
Eさんは少し首を傾けて、「あまり使っていないかもしれません」と答えた。
そこなんだ、と私は思った。
人を動かせる人が、世の中を動かせる人だ。
ではどうすれば人を動かせるようになるか。答えはシンプルで、相手が共感できる話をすること、そのためにたくさんの例え話ができるようになること、そして最も大切なのは、口癖を変えることだ。
何かを説明するときは「例えば……」と話し始める。
何かをまとめたいときは「つまり……」と話し始める。たったこれだけのことが、人を動かす力を劇的に変えていく。
なぜ例え話がそれほど重要なのか。
そこには人間の脳の構造が関係している。ミラーニューロンと呼ばれる働きがある。難しく聞こえるけれど、一言で言えば「意識のアンテナ」だ。人は自分の受信できる周波数のことしか受信できない。自分に必要な情報だけをピックアップして取り込む、そういう仕組みが脳に備わっている。
例えば、人は毎日数百の広告を目にしていると言われているけれど、意識に残っている広告は多くて数個くらいだ。妊娠している人は街中に妊婦さんが急に増えたように感じるし、自分が乗っている車は街でもよく見かける。ハワイに行くと決めた人はハワイの情報が自然と目に飛び込んでくる。人は興味のあることしか見えないし、聞こえない。
だからこそ、説明する立場にある人は、相手の興味のアンテナに引っかかるように、たくさんの違う角度からの例え話を用意してあげる必要がある。
「例えば……」と話し始めると、人間の脳は自動的に例え話を探し始める。まだ例え話が思い浮かんでいなくても、「例えばね……」と口に出してしまえばいい。脳がそのあとを勝手についてきてくれるから。伝えたいことがあるときは、5つくらいの例え話をするつもりで、何度か繰り返して伝える工夫をしてみてほしい。
そして話をまとめたいときは「ということでつまり、こういうことです。」と話し始める。これだけで、それまでの会話が自然に一つの結論へと収束していく。
この力は、日常会話だけの話じゃない。素晴らしいアイデアと想いと伝える力があれば、ビジネスはゼロから立ち上げることができる。
アメリカの女性起業家ロビン・チェイスは、自動車の相乗りサービス「Goloco」や、自家用車を他人とシェアできる「Zipcar」、さらに同じ仕組みをヨーロッパで展開した「Buzzcar」を次々と立ち上げた。彼女のすべてのビジネスは、投資家や応援者からの支援でスタートしている。アイデアへの思いを語り、それを人に伝える力があるから、お金が集まってくるのだ。
Eさんは、その日から「例えば」と「つまり」を意識的に使い始めた。最初はぎこちなかったけれど、口癖というのは恐ろしいもので、使い続けるうちに自然と出てくるようになっていく。数週間後、「先日のプレゼン、初めてチームが本当に動いてくれた気がします」という連絡が届いた。言葉が変わると、周りが変わる。周りが変わると、世界が変わる。
「例えば……」と「つまり……」——この2つを、今日から口癖にしてみてほしい。その小さな習慣が、あなたの持つ影響力を、確実に変えていくから。


随時受付中
- 【売れる講座設計サービス】売れる講座を作ります
あなたの代わりに『売れる講座』を設計するサービスです。売れる構造を知らないまま作り続けなくていい。設計は、私に任せてください。 - 【証明モードをやめると人生が動き出す】
頑張っているのに前に進めない理由を解き明かした、学習コミュニティです。止まっているのは能力のせいではありません。その構造に気づいた瞬間から、人生は動き始めます。 - 【個別相談】スポットコンサル・コーチング
あなたのビジネスの現在地を、客観的に整理するための1回完結の個別相談です。間違っているかもしれないまま進み続けるのは消耗してしまうだけ。次の一手、一緒に考えます。 - 【認定コーチ養成講座】
傾聴・質問・承認の3つを体系的に学ぶ、自宅完結の認定資格講座です。スキルを持つだけでなく、教える側にもなれます。学んだことが、そのまま収入の柱になります。 - 【メンター契約】コンサル・コーチ
あなたの現在地を深く理解した上で、毎月伴走し続けるサービスです。自分の場合はどうすればいいか、一緒に考え続けてくれる人間がいない。その孤独を、終わりにしてください。


